医師と睡魔

一般的に理想的な睡眠時間は平均して約7時間と言われていますが、睡眠時間が短くても平気な人と、長時間の睡眠を要する人がいるように、人が必要とする睡眠時間には個人差があるようです。例えば発明王として知られるトーマス・エジソンはどちらかというと短時間睡眠型で、長時間睡眠型の人はアルベルト・アインシュタインのように優れた創造力を持った人が多いと言われています。このように必要とする睡眠時間に個人差はあるものの、毎日6時間未満の睡眠時間が続くと脳のパフォーマンスは約70%程度に低下するとも言われています。積み重なる睡眠不足からくる過労、それにともなって低下する集中力・判断力などの能力は、飲酒した状態と同じレベルにあるとの指摘もあるため、心身の健康のためにしっかりと睡眠を取ることは不可欠です。

医師は患者さんの病気を的確に診断し、最善の治療を行うことが最大の任務であり、特に緊急時や手術などの場合にはミスが許されない状況下、より一層の集中力と冷静な判断力が求められます。脳のパフォーマンスが100%最大限に発揮されてこそ成し得る仕事ではないでしょうか。しかしながら、医師を取り巻く厳しい労働環境の中では、集中力や判断力を温存するだけの十分な休息や睡眠が取られていないのが現状です。特に急患や緊急手術といった精神力を要する外科医・産科医・小児科医などの専門医は、患者数も多く睡眠時間は2〜3時間、睡眠どころか家に帰ることができない医師も少なくないと言われています。

中でも当直やオンコールといった医師特有の勤務体系は医師の睡眠時間を削り、睡魔と闘う医師が医療の最前線に立たざるを得ないのが現代医師の現状です。一般的に日勤の医師が夜に残って当直を行い継続して次の日の勤務まで就業しますが、医師の当直とは病室の巡回や検温などの軽い業務とされています。そのため本来は休息や睡眠を取るべき時間です。しかしながら実際には当直中に起きる救急外来や急患に対応し、翌朝まで働くケースが少なくありません。いくら眠くても、睡魔が襲ってこようとも翌日は通常勤務のため医師たちは休むことができません。合計すると継続的に30時間以上働いていることになり、中には丸2日間、まともに休むことなく連続的に働くこともあるのです。

多くの医師たちが睡眠時間を削って診療や治療、生命を救う時間に費やしているわけですが、睡魔と闘いながら的確な診断、最善の治療を行うことはできるのでしょうか。当直明けで正気なくふらつく医師に手術をしてもらいたい患者さんはいないはず。医療の安全確保のためにも常に医師たちには100%のパフォーマンス力で職務に当たることが望まれています。

Copyright (C) 2007-2013 医師と結婚相談所. All Rights Reserved.